1.メカポンO/Hの作業内容について

基本的にスペックを出すのに必要なパーツ(消耗パーツを含む)は全て交換します。また修理可能なパーツはリビルトします。(センサー等)
具体的な交換パーツ/修理箇所は個々のポンプより異なりますが概ね以下の通りです。

メカポンのカットモデルで各内部パーツが確認できます。

内部パーツ
1.サーモスタット

O/H
・サーモスタットが正常に作動するか?シム調整
・プッショロットを確実に押しているか?
・ロット以降のメカニズムが正常に作動するか?
2.気圧センサー

O/H ・交換
症状によりO/Hもしくは交換
3.ソレノイド

O/H ・交換
症状によりO/Hもしくは交換
4.スリーデイメンションカム

(交換)
チューニング時又は編摩耗している場合のみ交換
既に、生産中止の超レアなパーツです。(画像有り)
5.遠心ガバナー

(交換)
構造上ガタが出たり内部のパーツが編摩耗している場合が多い。
6.プランジャー 

交換
症状により交換
7.チェックバルブ

交換
症状により交換
8.プランジャースプリング

(交換)
オイル管理が極端に悪かった場合などサビによりダメージ を受けていることがある
9.カムシャフト 

(交換)
 同 上
10.ベアリング/ガスケット

交換
必ず交換

    
外装 
1.筺体のサンドブラスト処理
2.ペイント
3.リンケージ/ステー等の再メッキ処理
4.新品のビスを使っての組付け

全てのポンプはリビルト後、専用のテストベンチで、スペックの確認をした上で出荷します。

テストベンチ1

テストベンチ2

出荷を待つリビルト済みポンプ

2.メカポンのO/H時期の見極め方(テクニカルアドバイス)


2-1.ポンプ自体に疑いをかける前に以下の項目の全てが正常であることを確認する必要があります。

1.エンジンのコンプレッション
2.プラグ/プラグワイヤー
3.エアクリーナー
4.デユエルアングル
5.イグニッションタイミング
6.フュールプレッシャー
7.インジェクションノズル
8.インジェクションタイミング
9.リンケージのコリレーション
10.スロットルボデイー

つまりポンプ以外の全てが正常であるにもかかわらずエンジン自体のスペックが出ない場合に、初 めてポンプ本体に原因があると考えられます。



2-2. メカニカルインジェクションポンプは通常の使用状況下ではデイーゼルポンプ同様、非常に耐久性のあるものです。一般的な故障のパターンとしては数十万キロ走りベアリング/プランジャー/各センサー等が自然摩耗することにより起こる場合がほとんどです。しかしながら極端にオイル/ガスの管理が悪い場合、内部のサビにより数万キロで筺体以外の全てのパーツが交換要とになる場合もあります。

2-3. 体感できるポンプの不調としては、アクセルのつきが悪くなったり、アイドリングが安定しなかったりすることがありますが、これらの症状が全てポンプに起因するとは限りません。つまりエンジンのポンプ以外の部分に問題がない場合にのみ、原因がポンプで有ることが特定可能となります。

2-4. かなり末期的な症状としては、ガスが正しく噴射されずエンジンオイルに混ざり、エンジンオイルの量が増える場合があります。

2-5. 実際のユーザーの方からのフィードバックとしては、エンジンをリビルトしたにも関わらず今一つ調子がパッとしない、と言うケースが殆ですので、ポンプに疑いをかける前にエンジンの総点検が必要です。